成年後見制度がもっと利用されて、苦しんでいる方のお力になれますように……
2016/06/09
認知症のご家族を介護されている方が、介護の疲れで大切なご家族を殺めてしまう。
そんな哀しい事件が繰り返されています。
認知症のご家族を抱えた方の苦しみは、外からはなかなか見えないものでしょう。
私たちも少しでも皆さまのご負担を軽くできるのでは…と願って、成年後見制度をお知らせしています。
本日はその成年後見制度の一つ、「任意後見制度」について書きます。
「もしも私が認知症になったら、ずっと親しくしている姪に後見人をしてもらいたいんだけど…」
例えば、こういったご希望をお持ちの場合。
既に認知症になってから後見人についてもらおうとすれば、家庭裁判所が選任した人が後見人になります。
(ここで後見人というのは、広い意味での後見人です。家庭裁判所が選任する時は、ご本人の状態により、後見・保佐・補助の三種類があります。一番重い状態が後見、軽い状態が補助です)
認知症の程度が軽い時は、ご本人の希望を伝えることもできますが、重くなってからでは、その希望を伝えることもできません。
また、ご本人の希望を伝えても、その人が選任されるとは限りません。事情により、弁護士さん等を家庭裁判所が選任する場合もあります。
この家庭裁判所が後見人を選任する成年後見制度を「法定後見」と呼びます。
しかし、「どうしても、この人に私の後見人になってもらいたい!」というご希望でしたら、ご本人が認知症になる前、ご健康な間に、ご本人が選んだ方と将来のための契約を結んでおくことができます。
これを「任意後見」といいます。
ご本人と任意後見契約を結んで、将来ご本人が認知症になった時に後見人になる人を「任意後見受任者」と呼びます。
ご本人が認知症になった時は、家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任を申立て、家庭裁判所が選任した任意後見監督人の元で任意後見人が後見を行います。
※任意後見監督人が選任され、任意後見が開始すると、任意後見受任者から任意後見人に変わります。
ただし、既に認知症が進み、契約をするための意思能力が失われてしまった時は法定後見を利用するしかありません。
お元気な間に、または認知症になってもごく初期の間に契約を結んでください。
任意後見の手続きなどについては、当事務所にご相談ください。